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今日(1999年11月30日)の朝日新聞(朝刊)の一面に、病歴記載の個人名簿の売買の記事が掲載されています。関東の300人分のデータで、1件60円という話です。 これについて、思うことを書きます。 情報が金になる時代です。少し古いのですが、1980年のリクルートの事件が思い出されます。 佐高信著 『会社はこれでいいのか』で 1980年10月4日の朝日新聞の記事が紹介されています。 「就職情報会社 日本リクルートセンター とんだ“内職” 学生名簿、企業に売る 一人分二十二円で二十万人」 日本リクルートセンターは、現在のリクルートです。 宮部みゆき著『火車』でも、会社の個人データ収集の話が出てきました。個人のデータ収集は社会で広く行われていることなのです。 一般的にはこれらのデータは、ダイレクトメールの宛先にしかならないのでしょうが、『火車』のように犯罪に使われたりするかもしれない。 大学生が就職活動をする場合、30社や50社、会社訪問することはざらです。その時、就職活動4点セットとか言って、履歴書、成績証明書、卒業見込み証明書、健康診断書といった書類を企業に提出します。企業はそうして集めたそれらの書類を、個人情報としてストックしているのではないかと思うのです。企業集団や企業系列でその個人情報を回して使っていることも考えられます。 健康診断書は個人の冒頭の病歴データの元になり得るし、履歴書などは顔写真や、筆跡、趣味等も明らかになる、企業にとってのうま味の成分となり得るのです。 数日前に東北大医学部の研究者グループが町民2500人の遺伝子を無断研究していたニュースもあります。例えば、遺伝子によって、どんな病気になる可能性が高いのか、とかが分かるのならば、これも冒頭の病歴データと同じように、商売になりえるのです。 情報という、実体がないものが金になる世の中。 プライバシーだ、法整備だといっても、個人情報というものは保護できるものなのでしょうか? まったくイヤな話です。 (1999.11.30) ジャーナリストによる次のような本が参考になります。 『プライバシー・クライシス』斎藤貴男(文春新書) 防衛庁に情報公開を求めた人々の身元が調査され、防衛庁内のLANで閲覧していたという事件が発生しました。 よっぽど情報公開をしたらまずい情報をもっているということでしょうか? 国民に内緒で原子力潜水艦を作っているとか? (モトネタは漫画『沈黙の艦隊』かわぐちかいじ著・講談社) 情報を求めようとする市民は「国家の敵」というわけ? (2002.6.12追加) |
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