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1999.4.15『ザ・大蔵省』佐高信監修(徳間文庫) 紀伊國屋 amazon bk1 7andy

表紙:日本経済の浮沈は大蔵官僚の行政指導によって、戦後一貫の継続を保ってきたかの神話があった。 が、バブル以降の経済的な大沈下、そしてあのバブル自体が大蔵の権威を失墜させつつある。 苦悩に喘ぐその大蔵像を組織、人事、権力という側面から、第一人者の著者がアンソロジーを編んだ。 著者が最高の大蔵経済小説として絶賛する結城泰介の『小説大蔵省』や、野中広務氏、紺谷典子氏との鼎談を含む。 文庫オリジナル。

robo 『ザ・大蔵省』佐高信監修(徳間文庫)



第一章 組織―大蔵エリートの崩壊
 元大蔵官僚の打ち明け話 古川元久(ふるかわもとひさ)
  あれからわずか四年で
  税務署長を辞退したワケ
  週日はずっと仮眠室で
  傷つかないよう守られて
  東大卒の閉ざされた世界
  「バンドエイド」政策の背景
  人材が大蔵から逃げる時代
  ガラスのエリートでは自滅する

 スキャンダルの温床・主計官フレーム 岸宣仁(きしのぶひと)
  官房付田谷廣明
  大蔵人生のスタート
  落とし穴への第一歩
  「昭和の三大バカ査定」
  バブル崩壊とともに訪れた転落
  元凶は「数字合わせ」
  自分で自分の首を絞めた

 霞が関で噴出する大蔵省批判、他省幹部が明かす疑念と不満―一九九五・八・五  生田忠秀(いくたただひで)
  予算をタテに増長した大蔵省 水面下で増幅した他省の不満
  崩れた信頼感と予算獲得構造 疑念を増した醜聞と“天下り”
 
 大蔵官僚をいますぐ駆逐せよ
  野中広務 衆議院議員
野中広務著作目録
  佐高信 評論家
  司会 紺谷典子(こんやふみこ)日本証券経済研究所主任研究員
紺谷典子著作目録
  例外でない中島・田谷問題
  税務調査のムチ
  族議員の奨励
  銀行役員は私財を出せ
  必要な金融監視委

 飛鳥新社から読者の皆さまへ
 『お笑い大蔵省極秘情報』をめぐる佐高信氏との裁判の和解にあたって  平成十年三月二十五日
テリー伊藤著作目録
→1996.7.10『お笑い大蔵省極秘情報』テリー伊藤(飛鳥新社) 紀伊國屋 amazon bk1 7andy
→1998.7.6『大蔵官僚の復讐 お笑い大蔵省極秘情報2』テリー伊藤(飛鳥新社) 紀伊國屋 amazon bk1 7andy wad
  これまでの経緯
  和解による決着
  「ノーパンシャブシャブ男か」
  「腐敗した大蔵官僚は一割」
  「誰でも大蔵官僚は務まる」

第二章 人事―大蔵キャリアの裏側
 大蔵官僚のエリート意識 佐橋滋(さはししげる)
佐橋滋著作目録

 大蔵式新人教育法 佐高信

 大蔵省人事はこれでいいのか  栗林良光(くりばやしよしみつ)
  大蔵事務次官というポスト
   資格は成績、人物と大局観
   小粥のケース
   デキる人物を厳しく査定
   “人材銀行”の主計局
  斎藤次郎・次官退任の舞台裏
   自ら退任を決意
   特殊法人改革ツブシの元凶とみられて
   内部からも批判噴出
   「歴史的使命は終わった」
  “疑惑”官僚の処遇はどうなったか
   訓告処分から左遷
   日本銀行政策委員というポスト
   ミソギは済んでいない
   “接待体質”改善には大蔵省を解体せよ
  局人事と若手起用
   主税局の人事異動
   残党狩りのための異動
   若手人事に流れが変わった

 これが天下りの実態―大蔵官僚  堤和馬(つつみかずま)
  大蔵官僚
  歴代大蔵事務次官の天下り(1996年現在)
  表1 国税庁長官の天下り先
  表2 造幣局長の天下り先
  表3 地方財務局長(関東財務局長の場合)の天下り先
  表4 歴代大蔵相幹部の天下り実態(本省局長・地方局長以上)
  表5 3000万円以上献金した企業・団体など


第三章 権力―大蔵パワーの源泉
 ふたつの「小説大蔵省」 佐高信
 「小説大蔵省」その1 結城泰介(ゆうきたいすけ)
   “田中代替え方式”
   総理の約束
 「小説大蔵省」その2 結城泰介(ゆうきたいすけ)
    予算の裏側
    主計局長の失敗


 田中支配の影  佐高信

 中途半端な金融制度改革  栗林良光
  金融効率化とBIS規制
   金融制度改革法案の新しいポイント
   重くのしかかるBIS規制
  保険業法の改正が持つ意味
   保険行政は“御養育掛”か
   相互会社から持株会社へ
   総合生活保障産業の虚実
   新しい発想が求められている

 
初出一覧

解説 佐高信

 

 

(uwasano)
評論家・佐高信氏による、大蔵官僚批判の経緯について。
佐高信氏が大蔵省(現・財務省)次の本で批判した。
1996.1.30 『大蔵省分割論・日本経済再生の切り札』(光文社・カッパ・ブックス)
これが出版された後、テリー伊藤氏による、大蔵官僚へのインタビュー本が出版された。 これらは、大蔵省(現・財務省)の官僚の本音が炸裂した本となっている。その中で、匿名大蔵官僚は、佐高氏や田中真紀子氏や五十嵐ふみひこ氏を批判した。

1996.7.10『お笑い大蔵省極秘情報』テリー伊藤(飛鳥新社) 紀伊國屋 amazon bk1 7andy
1998.7.6『大蔵官僚の復讐 お笑い大蔵省極秘情報2』テリー伊藤(飛鳥新社) 紀伊國屋 amazon bk1 7andy wad
テリー伊藤著作目録

『お笑い大蔵省極秘情報』の匿名大蔵官僚を、佐高氏は訴えたが、うまくいかなかった。
民主党の前代議士で『大蔵省解体論』(東洋経済新報社)の著者・五十嵐ふみひこ氏は、匿名大蔵官僚ではなく、テリー伊藤氏と版元を訴えた。こちらは和解が成立した。
五十嵐文彦著作目録=五十嵐ふみひこ著作目録(イガラシフミヒコ)
関連リンク:週刊金曜日1997.10.10号 風速計・190・途中経過報告
関連リンク:週刊金曜日1998.8.7号 風速計・230・テリー伊藤

これらの経緯は、次の本にも記載されている。
1999.4.15『ザ・大蔵省』佐高信監修(徳間書店・徳間文庫)
1997.11.25『「民」食う人びと 新・日本官僚白書』(光文社)
→(文庫化)2000.3.『「民」食う人びと 新・日本官僚白書』(光文社文庫)

その後、テリー氏と仲良くなった佐高氏は、共著『お笑い創価学会』を出した。この本は、文庫化もして、かなり売れたようだ。
2000.7.30『お笑い創価学会−信ずる者は救われない』佐高信&テリー伊藤著(光文社)
→(文庫化)2002.9.『お笑い創価学会 信じるものは救われない』佐高信&テリー伊藤(光文社・知恵の森文庫)


『お笑い大蔵省極秘情報』は日本の行政を知るための第一級資料だと思う。読むべきである。
大蔵官僚は、日本の体制は、大蔵官僚がピラミッドの頂点に立ち、その下に政治家がいて、その下に国民がいるという独特の思想を開陳している。私はその考え方をこの本で初めて知ったが、大蔵官僚がそう思いこむ体制はあるようだ。
大蔵官僚は、精力も絶倫と発言している。精力も絶倫なのはけっこうなことだが、金融業者からノーパンしゃぶしゃぶや女子大生?による下半身の接待を受ければ、賄賂罪が適用されるはずだと思う。なぜ逮捕されないのか? 大蔵官僚によると、検察も警察も、予算を握られている大蔵官僚を捕まえることは出来ないと発言している。ここまで言われているのに、検察がこの本の大蔵官僚をターゲットにした話を聞かない。なぜ怒らないのか? こんな連中を捕まえない検察は、職務怠慢だと思う。そのくせ、『噂の真相』の編集長やデスクをターゲットにする。弱い者イジメの典型である。
1999年11月


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