uwasano「楽しい読書日記」佐高信著作目録(1996-) > 1996.1.30 『大蔵省分割論・日本経済再生の切り札』(光文社・カッパ・ブックス)

1996.1.30 『大蔵省分割論・日本経済再生の切り札』(光文社・カッパ・ブックス)\800 紀伊國屋 amazon bk1 7andy

表紙:大蔵省が日本経済をドロ沼に引きずりこんだ
大蔵省が一九八〇年代半ばにとった低金利、円高政策
→ 金融機関の貸出し競争を招きバブル経済の引き金となる
→ 土地、株がらみの融資が急増し、地価、株価が高騰
→ 大蔵省はNTT株などの上場で「バブル経済の火」に油を注ぐ
→ 金融機関の乱脈融資が横行
→ あまりの地価高騰に大蔵省は慌てて急激な金融引き締め策に出る
→ 地価下落、株価暴落でバブル経済が崩壊
→ 巨額の不良債権が生まれる
→ 金融機関の経営破綻が続出
→ 金融機関の不良債権処理のために大蔵省と日銀が超低金利政策をとる
→ 預金者に支払われるべき利子が不良債権の穴埋めに回される。同時に大蔵省OBが天下りして、さんざん甘い汁を吸った「住専」の不良債権処理には税金も導入。

robo 「大蔵省分割論・日本経済再生の切り札」佐高信著(光文社・カッパ・ブックス)



まえがき
序章 大蔵省はここまで腐っている
 上半身スキャンダルと下半身スキャンダル
 たかり三昧(ざんまい)から税金逃れまで
 大蔵官僚の構造的腐敗
 バブル経済の引き金を引いたのは誰か
 大蔵省はバブル経済の火に油を注いだ
 反省もせず、失敗を繰り返す

一章 大蔵省が握る権力
 「日本の屋台骨は大蔵省が支えてきた」という自負
 検察、警察も大蔵官僚に腰が引けている
 税金を「大蔵省のカネ」と錯覚する
 たった四年間の天下りで二千九百万円の退職金 
 もっと税金を取るぞ、という「脅し」
 エリート銀行員「MOF担」の仕事は夜の宴会、週末ゴルフ
 過保護行政は天下りのため
 弱みに付け込んでポストを確保する
 国際ルールで通用する金融機関は一つだけ
 ディスクロージャーの意図的無策
 情報を明らかにしていれば不正も少なくなる
 「ヤブ医者」だと思っていたら「ニセ医者」だった
 泥棒の親分が警察署長になる!?
 住専問題は大蔵省の犯罪である
 預金者の大損は、銀行の大儲け
 「平成の鬼平」も御殿女中だった
 
二章 大蔵官僚の精神構造
 世間知らずが大蔵省に入る
 税務署長になって「バカ殿教育」を受ける
 強烈な自惚れ(うぬぼれ)がスキと甘えを生む
 課長補佐クラスで大会社の社長を呼び付ける
 キャリア優遇は法律的にも根拠なし
 勇気ある官僚はいつ変節したのか
 国民福祉税構想の本音
 「大蔵省と対立して生き残った内閣はない」
 大蔵省に批判精神はない
 役得は個人で、責任は匿名
 処分を受けた官僚ほど出世する!?

三章 公僕から党僕、省僕への転落
 出世がチラつき始めると変身する
 「大蔵省に強い政治家」の正体
 股裂きに遭う「党僕」官僚
 大蔵省幹部にカネをばらまいていた田中角栄
田中角栄著作目録
 政治家も官僚も低い「政低官低」の時代
 「官僚に徹し切れなかった男」の自殺

四章 大蔵省を分割せよ
 見えない巨大な怪物
 世界から信用されなくなっている日本
 次々と出始めた解体論
 浸透してきた「金融庁」構想
 銀行局、証券局は必要ない
 課長より上はパージせよ
 大蔵省分割の決め手
 知っていて書かない新聞記者
 大蔵省など信じるな

あとがき




(uwasano)
評論家・佐高信氏による、大蔵官僚批判の経緯について。
佐高信氏が大蔵省(現・財務省)次の本で批判した。
1996.1.30 『大蔵省分割論・日本経済再生の切り札』(光文社・カッパ・ブックス)
これが出版された後、テリー伊藤氏による、大蔵官僚へのインタビュー本が出版された。 これらは、大蔵省(現・財務省)の官僚の本音が炸裂した本となっている。その中で、匿名大蔵官僚は、佐高氏や田中真紀子氏や五十嵐ふみひこ氏を批判した。

1996.7.10『お笑い大蔵省極秘情報』テリー伊藤(飛鳥新社) 紀伊國屋 amazon bk1 7andy
1998.7.6『大蔵官僚の復讐 お笑い大蔵省極秘情報2』テリー伊藤(飛鳥新社) 紀伊國屋 amazon bk1 7andy wad
テリー伊藤著作目録

『お笑い大蔵省極秘情報』の匿名大蔵官僚を、佐高氏は訴えたが、うまくいかなかった。
民主党の前代議士で『大蔵省解体論』(東洋経済新報社)の著者・五十嵐ふみひこ氏は、匿名大蔵官僚ではなく、テリー伊藤氏と版元を訴えた。こちらは和解が成立した。
五十嵐文彦著作目録=五十嵐ふみひこ著作目録(イガラシフミヒコ)
関連リンク:週刊金曜日1997.10.10号 風速計・190・途中経過報告
関連リンク:週刊金曜日1998.8.7号 風速計・230・テリー伊藤

これらの経緯は、次の本にも記載されている。
1999.4.15『ザ・大蔵省』佐高信監修(徳間書店・徳間文庫)
1997.11.25『「民」食う人びと 新・日本官僚白書』(光文社)
→(文庫化)2000.3.『「民」食う人びと 新・日本官僚白書』(光文社文庫)

その後、テリー氏と仲良くなった佐高氏は、共著『お笑い創価学会』を出した。この本は、文庫化もして、かなり売れたようだ。
2000.7.30『お笑い創価学会−信ずる者は救われない』佐高信&テリー伊藤著(光文社)
→(文庫化)2002.9.『お笑い創価学会 信じるものは救われない』佐高信&テリー伊藤(光文社・知恵の森文庫)


『お笑い大蔵省極秘情報』は日本の行政を知るための第一級資料だと思う。読むべきである。
大蔵官僚は、日本の体制は、大蔵官僚がピラミッドの頂点に立ち、その下に政治家がいて、その下に国民がいるという独特の思想を開陳している。私はその考え方をこの本で初めて知ったが、大蔵官僚がそう思いこむ体制はあるようだ。
大蔵官僚は、精力も絶倫と発言している。精力も絶倫なのはけっこうなことだが、金融業者からノーパンしゃぶしゃぶや女子大生?による下半身の接待を受ければ、賄賂罪が適用されるはずだと思う。なぜ逮捕されないのか? 大蔵官僚によると、検察も警察も、予算を握られている大蔵官僚を捕まえることは出来ないと発言している。ここまで言われているのに、検察がこの本の大蔵官僚をターゲットにした話を聞かない。なぜ怒らないのか? こんな連中を捕まえない検察は、職務怠慢だと思う。そのくせ、『噂の真相』の編集長やデスクをターゲットにする。弱い者イジメの典型である。


1999年9月


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